帝一の國

2018/01/07

古屋兎丸、集英社。古屋先生の昭和青春学園政治絵巻一巻目。古屋兎丸といえば自分の中ではやはり「ライチ☆光クラブ」でありまして、SQとはいえ天下のジャンプレーベルでいけるの大丈夫なの? と不安に苛まれつつ手に取ったこの漫画。大丈夫ですイケてますよ。爽やかなる青春学園絵巻として、風雲の胎動を感じさせる第一巻なのですよエエ。
舞台となるのは旧制の匂いを残した超エリート高。日本の支配層へと滑り込む鍵となる、この学校の生徒会長職を巡り生徒は毎年熾烈な政治闘争を繰り広げていた。そこに主人公、帝一とその伴侶光明が野心を抱いてやってくる……、というのが大まかな粗筋。
まずですねー、政治闘争劇として非常にハァハァ来るわけです。「ここに海帝生徒会選挙史上最も謀略に長けた、帝一・光明の赤羽場が誕生した」とか「後に赤場派と熾烈な戦いを繰り広げる東郷派が誕生した」とか、ハッタリの効かせ方が非常にクル。無論、古屋先生の絵のパワーがこのハッタリ力を分厚くサポートしています。キメ絵マジカッコイイ。
そして、青春小説としての側面。政治的闘争を行いつつも、登場人物にはどこか稚気があって可愛らしい。これは主人公サイドだけではなく、ライバルたる東郷君や根津君、大鷹君もそう。底の抜けた元気さと朗らかさが、学園という場にズバッと背骨を通し、爽やかな空気を連れてきてくれてます。無論、古谷先生の絵の巧さがこれを後押しします。ヌキ絵マジ和む。
紙面全体に貫かれる、先生のフェティッシュも漫画の熱気を上げる重要な要素。少年達の空間、まだアスファルトが路面を覆わない昭和、ガリ版刷り、工場、学ラン。パーツパーツにビッ、という気合と技量が通ってて、空気が匂ってきます。画面に必要なものを、的確以上の精度でかける画力というのが漫画にどれだけパワーを与えるか、という証左ではないカナーと思いますよ。
いまだ始まったばかりの帝一の野望闘争ですが、これから先の波乱を予感させて余りある出だしであり、今後の展開は非常に楽しみです。あ、女の子が可愛いのもポイント。夢子が好き。だけど、あくまで少女はスパイス程度に、美しき少年達の野望の渦を、思うままに描いて欲しいものです。二巻早くでねーかな。